あの夏の続きを、今


その後、私たち1年生は、入学式の会場である体育館へと向かった。


前のほうに並んでいる人たちが体育館へ入り始めると同時に、体育館から吹奏楽部の演奏する音が聞こえてきた。


さっき、「眼鏡の人」に案内されて音楽室に来た時は、みんなバラバラに練習していたけれど、今度はちゃんと、一つの曲として聞こえてくる。

力強いその音色が、私の心を揺さぶる。



すごい…………



とても、綺麗な音……………



やがて列が進み、私も体育館に足を踏み入れると、吹奏楽部の音はもっとはっきりと、私の胸に響いてきた。



メロディーを奏でる高音楽器。


ハーモニーを創り出す低音楽器。


力強く響いてくる打楽器。



すべての音が、私の心に呼びかけてくる。



もともと音楽が好きな私にとって、耳に直接届いてくる、心に直接響いてくる楽器の音は、とても印象深いものだった。



この音が、私を呼んでいる気がする。



この音が、私を吹奏楽の世界へと誘っている気がする。



やがて、私は思い始めた。



吹奏楽部に、入ろうかな、と。


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