あの夏の続きを、今


出欠をとり終わってから、いつもの体育館横に出る。


暦の上ではもう秋のはずなのに、外は気が遠くなりそうなほどに暑い。


「これが9月………信じられない」


そう一人で呟きながら、譜面台を立てて、チューナーの電源を入れる。


気が遠くなりそうなのは、もちろん暑さのせいだけではないんだけど────


カリンが私のところにやって来る。


「それで、志帆、どうしたのー?何かあったのー?」

「あのね、カリン………私、失恋しちゃったの……告白もできないまま」

「えーーっ!そうなのーー!?」

「うん、彼女ができたって言ってた…」


「そっか、それで……落ち込んでたんだね」


そう言いながら、カリンはコンクリートの段差の上に腰を下ろし、「志帆も座ろ?」と言って手招きした。


私もその隣に座る。
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