あの夏の続きを、今
文化祭と先輩
【2014年 10月上旬】
「すごーーい!こんなに飾り付けがたくさん!!綺麗ーー!!さすが文化祭!!」
朝練のために音楽室に集まってきた吹奏楽部の1年生たちは、東側の窓から見える校舎の派手な飾り付けを見て、ずっとはしゃいでいる。
今日は、中学校生活で最大のイベント、文化祭の日。
校舎のあちこちに飾り付けが施され、それぞれの教室で出し物の準備が進んでいて、学校全体がいつもと違った表情を見せている。
突然の失恋から約1ヶ月。
あれからハルトは私やレナとは距離を置くようになり、私からハルトに話しかけることもなくなってしまった。
私の気持ちは冷たく沈んでいたけれど、たくさんの友達に励ましてもらって、少しずつ立ち直ってきた。
そうこうしているうちに、文化祭の準備が本格化してきた。
文化祭はどんな感じになるのかな、と考えながらのクラスの出し物の準備はとても楽しかったので、準備に夢中になっているうちに、悲しみなんかもうすっかり忘れてしまった。
今日は、この朝練が終わった後、体育館で9時から開会式がある。
その後、私は11時まで、リサと一緒に校内の色々な出し物を見て回る予定だ(本当は最初にレナを誘ったのだが、その時間はクラスの出し物のシフトが入っていると言われたので、結局リサを誘うことになった)。
11時からは、クラスの出し物での仕事のシフトが入っている。
12時半頃から、昼食を食べて、吹奏楽部のステージの準備。
2時半から吹奏楽部のステージの本番がある、という流れだ。
音楽室のホワイトボードの隅にある《文化祭 中庭ステージ 演奏曲目》の文字と、その下に並んでいる曲名は、「(仮)」の文字が消されている点を除いては、何も変わっていない。