あの夏の続きを、今


それから、私とリサは、ミニゲームをクリアしながら順調に迷路を進んでいく。


そして、「魔王を倒せ!」と書かれた看板のあるスペースへとやって来た。


そこは的当て形式のミニゲームになっていて、的には魔王の手下の凝ったイラストが描かれている。


「勇者め、お前ごときに姫は渡さんぞ!」というセリフを言いながら、魔王の衣装を着た男子生徒が現れた。


魔王役の人は、私と目を合わせるなり────



「「あーーーーーーっ!!!」」



私と、その人、ふたり同時に思わず声をあげてしまった!


────その魔王役の人は、セイジだったのだ。


「ぷっ、あはははは!セイジが魔王!その身長でー!!面白すぎーーー!さっきのセリフもっかい言ってよーー!」


私とそう変わらないくらいの身長で、男子の中では背が低い方であることを気にしているセイジ。


そんなセイジが魔王という組み合わせがあまりにも意外で、でも案外似合っていて、それが面白すぎて私は腹を抱えて笑った。


「おめーみたいに笑ってくるやつには二度と言わねーからな!」

「はいはい、分かったよおチビさん」

「お前もチビだろーが」

「チビじゃないもん、私より背の低い人結構いるもんっ」


────本当は、「結構いる」といってもクラスで2、3人程度なんだけど────さすがにセイジもそこまでは突っ込んでこなかった。


笑いが落ち着いたところで、的当てで魔王の手下を倒していく。


すべての的を倒したところで、魔王役のセイジが、「ぐっ………やっぱり………勇者の強さには敵わないのか………姫を逃がすから、命だけはお助けを…!!」と名演技をしてみせたので、「私のことチビって呼ばないのなら助けてあげる」と冗談を言ってみせた。
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