あの夏の続きを、今


文化祭をきっかけに、一旦外に表れ出たその感情は、再び前と同じように、心の中の分厚い扉の中に閉じ込められ、そのまま見て見ぬふりをされ続けた。


そのまま数日が過ぎていった。


その間、松本先輩の姿を見ることは一度もなかった。


でも、それで良かったのかもしれない。


もし一瞬でも姿を見てしまえば、きっとまた、あの気持ちが蘇ってきてしまうだろうから。


そうしたら、また、苦しみながらその気持ちを抑えこまなければいけなくなるだろう。



そんな中やって来た、ある水曜日のこと。


私は10月になってから、給食委員に入っている。


給食委員は、一週間に一度、昼休みに給食センターでの立ち当番という仕事がある。


この学校では、敷地内に給食センターが併設されている。


給食当番の生徒たちは、給食の時間になるとその給食センターに給食を取りにいく。


そして、昼休みになると、入れ物や食器を返しにくる。


この時に、どのクラスが返しに来たか、まだ返されていないクラスはどこか、といったことを確認するのが、給食委員の仕事。


そして私は、毎週水曜日の昼休みにこの仕事を担当することになっているのだ。
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