あの夏の続きを、今
放課後。
今はテスト週間なので、部活はない。
たくさんの生徒たちが一気に自転車置き場へと流れ込んでくる。
その人だかりから少し離れたところにある、プールの裏側の角のところで、リサはレナと向かい合って、堂々と立っている。
その表情こそいつもと変わらない冷静な顔であるものの、瞳には怒りの色がはっきりと宿っている。
私はリサの指示で壁の陰に隠れていた。
ここで、気づかれないように話を聞いておいて、とのことだった。
向こうに気づかれないように、時々壁の端からそっと様子を伺う。
レナは私のいる場所に背を向けて立っていて、私の存在には気付いていないようだ。
コンクリートの壁の間を、冷たい北風が通り抜けていく。
マフラーはしているけれど、それでも寒い。
冷たくなった指先に、はあっ、と息をかける。