あの夏の続きを、今
「ねえ、これを見て。どういうこと?志帆のことを何だと思ってたの?」
静かだけど威厳の感じられる、リサの声が聞こえてくる。
────“ごめんね、リサ、私のためにわざわざこんなことさせてしまって”
ここに隠れる前に私はリサにそう言った。
────“いいのいいの。こういうごちゃごちゃしたトラブルって、たとえ他人事であっても、すっきり解決させてしまわないと気が済まない性格だからね。だから、志帆は全てを私に任せておけば、大丈夫だって!”
リサはそう返してくれたのだった。
レナは何も言わない。
再び、リサが言う。
「レナちゃんが志帆ちゃんを裏切って瀬川くんと付き合ってるって噂が、こういう風に広まってるんだよ?どういうこと?何をしたの?全部教えてちょうだい。志帆が可哀想でしょ?」
次に聞こえてきたのはレナの声だった。
「……うん、私は、ハルトと付き合ってる……」
手が震えるのが、寒さのせいなのか怒りのせいなのか何なのか分からなかった。