あの夏の続きを、今
「うちが悪い………全部、うちが悪いの。
これは志帆への裏切りなんだって分かってても……それでも、私は私を止められなかった。
だから、志帆には内緒にしようって言って……
最初は罪悪感を感じてた。でも、隠したり嘘をついたりしてしまうことにだんだん慣れてくると、それも感じなくなって……
気づいたらうちは、志帆を裏切り続けていたんだ」
そこまで聞き終えたとき、私の全身は怒りでわなわなと震えていた。
寒さのせいではない。これは激しい怒りだ。はっきりとそう分かった。
────裏切り…………
────レナは、本当に私を裏切っていたんだ……………
信じられない…………
小学生の頃からずっと一緒にいたこの私を…………?
怒りと憎悪とが入り混じった感情が、どんどん私の中を埋め尽くしていく。
やがてそれは、私の身体を突き動かすとても強い衝動へと変わった。
水風船が破裂するように、その激しい衝動は私の中で一気に、一瞬のうちに弾けて広がっていった。
もう、自分が何を思っているのか、自分でもわけがわからなくなっていた。
そして、気づいたら私は、隠れていた壁の陰から飛び出して、レナたちのいる方へと勢いよく走り出していた。