あの夏の続きを、今


朝練が始まるのが7時半。8時までは、登校してくる3年生はほとんどいないので、その間音楽室で各自練習をする。


「威風堂々」は簡単な曲で、今更確認したり練習したりするような難しい所はないので、軽く1回だけ通して吹く。


それから、ひたすら「フレンズ・フォー・ライフ」の練習。


相変わらず、なかなか息が続かない。


けれど、松本先輩のことを想うだけで、どこまでも頑張れる気がする。


もう、今日や明日で松本先輩に想いを伝えることはできないけれど、せめて、松本先輩の後輩として、印象に残ることができたら……


そう思っていた。


松本先輩は、私の好きな人である以前に、私の先輩なんだから。


卒業式で最高の演奏をして、私の成長した姿を見せなければ。


私の成長した音を聞かせなければ。


松本先輩に誇れる、演奏をしなければ。


この音に、全ての想いを込めて………


窓の向こうの、あの空の遥か彼方まで、届くような音で…………
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