あの夏の続きを、今

また会う日まで





【2015年 3月中旬】





自分の部屋のクローゼットの扉の裏側にある、大きな鏡。その前に立つと、目の前にすっかり着慣れた制服を着た自分の全身が映った。


中学校に入学してから、もうすぐ1年が経とうとしている。


鏡に映る自分は、あの頃と比べて少しは大人になっただろうか。


…なんてことは自分で見ても分からないけど、ただ一つはっきりと言えることは、去年の4月の自分はドキドキワクワクした気持ちでここに立っていたのに対して、今は冷たく寂しい気持ちになってしまっている、ということ。


今日は、とうとうやって来てしまった卒業式の日。


松本先輩と同じ学校にいられる、最後の日。


今日が終われば、もう、長い間、松本先輩に会えなくなってしまう────


その「長い間」がどれくらいの時間なのか、私には見当もつかなかった。


ただ、それは想像するのも難しいほど途方もない時間になりそうな、そんな予感だけはしていた。
< 172 / 467 >

この作品をシェア

pagetop