あの夏の続きを、今
家の外に出ると、冷たい空気の中に、キラキラと朝の光が降り注いでいる。
凍りつきそうな空気を、少しずつ暖めていくように。
私はいつものように自転車に乗って、坂道を下り、学校を目指す。
桜並木の一本一本の桜たちは、そのつぼみを少しずつ膨らませ、春の訪れを待ち続けている。
冷たさとほんの少しの暖かさの入り混じった空気をかき分けて、まだ車の少ない大通りを進んでいく。
そして、学校に着いてから、いつものように自転車置き場に自転車を停める。
時計を見ると、集合時間よりだいぶ早い時間を指している。
少し、早く着きすぎたみたいだ。
今日は、係の生徒と吹奏楽部員以外はいつもより遅い時間に登校することになっているから、校内にはまだほとんど人の姿は見えない。
数人の先生や係の生徒が、体育館のあたりで準備を進めているだけで、校内の空気はまだぴんと張り詰めていて静かだ。