あの夏の続きを、今
練習終了の時間が近づいてきた。
一通り合奏を終え、西島先生が言う。
「それじゃあ、今日の練習はここまでですが……最後に少し、連絡があります」
連絡?何だろう。
普段、連絡は出欠の時に部長さんが言うから、先生が自分から連絡を言うなんて珍しい。いったい何だろう。
「実は、私、この度、転勤することになりました。なので、私がこの吹奏楽部の顧問でいられるのは、3月31日までの、残り数日間です」
……へ?
転勤…………?
一瞬、その場の空気が固まった。
そして……
「えええええーーーーーー!!」
「うそおおおおーーーーーー!!」
「マジでーーーーーーー!?」
「西島先生がーーーーーーー!?」
「転勤ーーーーーーーー!?」
ようやく事実を把握した部員たちが、驚きと焦りの表情を浮かべ、騒ぎ始めた。
何がなんだかわからないといった感じで、口々に色んなことを言い合っている。
騒ぎが少し収まると、西島先生が話を再開する。
「なので、4月からは、吹奏楽部に新しい顧問の先生がいらっしゃいます。
その先生は、新しくK中学校から来てくださる、寺沢先生という男性の方です」
………へ?
………新しい先生?
………K中学校?
再び、その場の空気が固まった。
そして、3秒くらい経って…
「えええええええええええええーーーーーーーーー!?」
「K中学校ーーーーーーーーーーーー!?」
「K中学校って、あのK中学校ーーーーーーーーー!?」
「毎年A部門で金賞取ったり、中国大会行ったり全国大会行ったりしてる、あのK中学校ーーーーーーー!?」
「うそでしょーーーーーーーー!?」
部員たちが、今度はさらに焦った様子で騒いでいる。