あの夏の続きを、今


パーン、パーン、タタターンッ!


全ての楽器たちが、明るいファンファーレを飾る。


だが────


「違う!やめ!そうじゃない!」


2小節も進まないうちに止められてしまった。


部員全員が、驚いて、怯えたような目で先生のほうを見る。


「そこ、2小節目まで、装飾音のある人たちだけでもう1回」


木管楽器の人たちが楽器を構え、最初の2小節を吹く。


「どうやったらそんなことが平気でできるんだ?1小節目の1拍目と、それ以外の音が全部同じ長さ、同じ強さだったら、おかしいに決まってるだろ?」


木管の人たちはすっかり怯えてしまっている。


「もう1回!」


先生に言われ、もう一度木管の人たちが、最初の2小節を吹く。


「そうじゃない。1拍目に向かって、一気に滑り込むようにするんだよ。装飾音はもっと速くして、1拍目にアクセント」


そうして何度も何度も最初の2小節を繰り返し、寺沢先生は私の気付かない細かなところまで直していった。
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