あの夏の続きを、今
リサはクラス分けの表を眺めてから、「あ、もしかして、私と同じクラスになったから叫んだの〜?」とにやにやしながら言ってくる。
「残念、不正解でーす。でも、リサと同じクラスになれたことは、嬉しいよ!声にならないくらい!」
「じゃあ、声になるくらいの驚きって、どこから来てるのよー」
「ほらほら、ここを見て!A組の担任、吹奏楽部の新しい顧問の先生なの!」
「そうなのー?確かに、見たことない名前!」
「そう。それでね、その先生、強豪校から来た人で、すっごい厳しいんだよねー」
「ほぉー!!」
「で、その先生の名前を見つけちゃって、びっくりしたってわけ」
「なるほどー」
そう言いながらリサは、表をじっくり眺める。
「あ、志帆の幼なじみの福原セイジくん、寺沢先生のクラスじゃん!」
「あっ………ほんとだ!確かに!ぷっ、あはははは、セイジが寺沢先生のクラス!!なんか面白そう!!」
「どう面白そうなのー?」
「去年セイジと同じクラスだった人たちによると、セイジは授業中に寝るか漫画を読むかしかしないらしいのよ」
「そんな福原くんが、その厳しい寺沢先生のクラスになったら……」
「どうなるだろうなーーって。想像したら面白そうだから!」
そんなことを笑いながら話していると────
「何が面白いだって?」
「あっ……」
その声に振り向くと、いつの間にやって来たのか、セイジがそこにいた。
「べっ、別に、セイジの話なんかしてませんよー?」
私がそう言うと、セイジはいつもの調子で、「ふーん、くれぐれも俺を馬鹿にしたりすんなよ?」と言う。
冗談半分に「セイジは馬鹿にしたくなるような人だから仕方ないよぉー」と言うと、セイジは笑いながら私に殴りかかる真似をしてみせたので、私も笑いながらよけた。