あの夏の続きを、今
部長さんが、がたっ、と音を立てて椅子から立ち上がる。
「あ!1年生だ!」
そう言いながら扉のほうに走っていく。
部長さんが扉を開けると、何人かの1年生が入ってきた。
「来てくれてありがとう!1年生は、こっちの椅子に座って!」
そう言われて、最初に来た1年生たちは椅子に座っていった。
────それからすぐに、次から次へと1年生が音楽室に入ってきた。
たくさんの1年生が、わらわらと音楽室に押し寄せてきたのだが────
────その人数の多さに誰もが驚いた。
私たちの予想を遥かに上回る人数だ。
私が去年、部活見学に行った時は、同時に来ていた1年生の数は、今ここに来ている人数の半分にも満たないほどだったと思う。
いつの間にか、別棟の階段や音楽室の扉の周辺は、驚くほどたくさんの1年生で埋め尽くされていた。
「すごい……こんなにたくさん!!」
他の部員たちが合奏の準備をしている間にも、どんどん1年生が入ってくる。
気付けば、その人数は軽く今の部員数を超えるぐらいになった。
「えーー、1年生、こんなにたくさんーー!?」
「一体何人来るのーー!?」
「1年生用の椅子、全然足りない!」
「追加!隣の教室から追加の椅子を持ってきて!とにかくできるだけたくさん!」
予想外にたくさんの人数がやって来たものだから、部員たちはみんな慌てていた。
別棟中のありったけの椅子を集めて持ってきても足りないほど、見学に来た1年生の数は多かった。
3年生の先輩の一人が、「ものすごい数だね!一体何人いるの!?」と言ったので、部長さんが人数を数え始める。
「んー、ざっと50人くらいかな」
「えー、そんなに!?すごい!!」
部員たちが感嘆の声を上げる。
「私が失敗してみんな爆笑したからかなぁ?そう考えると失敗も悪くないね!寺沢先生には怒られるだろうけど!」と、部長さんは笑いながら言っている。