あの夏の続きを、今
楽器の用意を終え、部員たちが音楽室に集合して、しばらくしてから、音楽室に1年生がやって来始めた。
昨日ほどではないけれど、相変わらずすごい人数だ。
部長さんが、1年生たちに説明をしている間、私もカリンも緊張に包まれていた。
「どうしよう……来てしまったよ……」
「カリンすっごく緊張する……」
そして、説明を聞き終えた1年生は、それぞれ体験したい楽器の先輩の元へと動き始めた。
フルート、クラリネット、サックス……人気の集中する高音楽器には、何人もの1年生が集まってくる。
そして、「人気の集中する高音楽器」の中には────もちろん、トランペットも含まれている。
既に、私とカリンの周りには────4人の1年生がやって来ていた。
ど、どうしよう。後輩の相手なんて、初めてで、どうしたらいいか分からない────
「カ、カリン、とりあえず、私が2人相手するから、カリンも2人相手してくれる?」
「うん、わ、わかった!!」
そうして、4人の1年生のうち2人は私のもとに、もう2人はカリンのもとについた。
私が相手をすることになった2人の女子の名札には、それぞれ「岡崎」「清水」と書かれていた。
と、とりあえず────この2人に、どうにかトランペットの吹き方を教えて、体験をさせてあげなきゃ。
2人を前にして、なんとか言葉を考え出す。
「えーっと、…トランペットの体験に、来てくれてありがとう!
私は、トランペットパートの、2年D組、広野 志帆です。
みんなも、名前を教えて?」
私がそう言うと、2人は、まだ先輩と話すことに慣れていないといった感じのおどおどした声で、話し始めた。
「1年C組の、岡崎 由衣(おかざき ゆい)です」
「1年D組の、清水 絵梨香(しみず えりか)です」
「ユイちゃんと、エリカちゃんだね!…じゃあ、早速体験に入ろうか!」