あの夏の続きを、今


それから数日が経ち、入部届の受付が始まると、私は真っ先に吹奏楽部に入部届を出した。


あの音の感触────初めて音を出したときのあの感触が、忘れられない。


まるで、自分の心の中の何かが、音になって、広がっていくような感じがする。


だから、あの体験の日以来、吹奏楽部に入りたくてたまらなくなったのだ。



そしてさらに数日が経ち、いよいよ最初の部活の日がやってきた。


放課後、教室を出る前に、私はリサに話しかける。


「リサは何部に入ることにしたのー?」

「私は、バスケ部にしたよ!志帆は?」

「私、吹奏楽部!」

「そっか、頑張って!」

「ありがと!」


そう言うと私は教室を出て、別棟へと向かった。


その途中でレナを見つけた。


体操服を着ているということは、運動部だ。何部なんだろう。私はレナに話しかける。


「レナ~!何部なのー?」

「バスケ部だよー!」

「やっぱりー?レナは運動神経良いもんね。ハルトは?」

「男子バスケ部だってさ」

「えー!?どっちもバスケー!?いいなー、羨ましいー、私も運動神経良かったらハルトとバスケするのにー」

「あはは、ところで志帆は何部なの?」

「吹奏楽!」

「だろうと思ったよ!運動音痴の志帆らしい」

「ひどーい!」

「冗談だってば。頑張ってね!」


そう言うとレナは体育館のほうへと走り出したので、私も別棟の階段を上り、音楽室に入った。
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