あの夏の続きを、今
「あ!この前のトランペットちゃんだ!」
「入ってくれたんだね!」
「松本くん!君のお気に入りが来てるよ!」
部活見学の日と同じように、音楽室に入るなりハイテンションで迎えてくれる女子の先輩たち。
その後ろから、見覚えのあるあの眼鏡の先輩────松本先輩が現れた。
「いや、だから、勝手な解釈はやめてって言ってるじゃんか」と、松本先輩は落ち着きのある笑顔で女子の先輩たちを制する。
そして、「新入生は、ここで座って待ってて」と言って、音楽室の前の方に並べてある椅子のほうへと私を案内した。
私の他にも、次々と1年生が音楽室に入ってくる。
新入部員は、私を含めて全部で13人だった。
全員が揃うと、綺麗な黒髪の女性の先生が、音楽室に入ってきた。
「新入生の皆さん、入部ありがとうございます。音楽の授業でもう知っていると思いますが、改めて、吹奏楽部顧問の西島 由美子(にしじま ゆみこ)です」
西島先生は、この学校の音楽の先生。その美しい容貌と、滅多なことでは怒らない穏やかな性格から、一部の生徒からは「天使」というあだ名をつけられている。
先生の言葉の後、先輩から歓迎の言葉、活動内容や方針の説明、そして部員一人ひとりの自己紹介などがあった。