あの夏の続きを、今


幸い、そんな私の心の内には全く気づいていない様子で、カリンは続ける。


「カリンは、同じ日にある高校の吹奏楽祭を見に行こうと思ってるから、そっちには行かないと思うんだけど…機会があれば、またいつか東神の演奏聴きたいな」

「そ、そうだね」

「そうそう、お兄ちゃんから聞いたんだけど…」


そう言ってから、カリンは思いがけないことを言った。


「松本先輩、今ユーフォやってるんだって!」

「……………………えっ!?」



頭の中が、一瞬にして真っ白になる。



────ユーフォ!?



トランペットじゃ、なくて!?



ユーフォ……………!?



高校で、担当楽器が、変わった…………!?



「………松本先輩が………ユーフォ!?」


思わず声に出してそう言ってしまうと、それにカリンが答える。


「そう。ユーフォなんだって!トランペットじゃないんだね…でも、めっちゃ上手いんだって!」

「そ、そうなのーーーーー!?」



────めっちゃ上手い………!?


違う楽器に変わったばかりなのに…………!?


確かにトランペットとユーフォは同じ金管楽器だから、音の出し方は同じだし、音域が1オクターヴ違うだけで運指は同じだし、ユーフォにはすぐに慣れて当然なんだけど………


でも、私の頭の中は、ショックでこんがらがっていた。
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