あの夏の続きを、今
私はてっきり、東神高校の定演に行けば、松本先輩のあの魅力的なトランペットの音がまた聴けるものだと思っていた。
明るく華やかで、時に情熱的で叙情的なあの音。
聴く人の心を魅了するあの音。
きっと、誰にも真似できないであろうあの音。
それをもう一度聴けることを、ずっと期待していた。
なのに、まさか、高校で別の楽器をすることになろうとは────
まさか、トランペットではないだなんて────
悔しくて悔しくて、たまらなかった。
これは私の最大の誤算だった。
もう二度と、松本先輩のトランペットの音が聴けないなんて………!!!
そう考えただけで、もう、ショックだった。
きっと今、私はこの混乱が表情に現れてしまっているに違いない。
私はカリンに適当な返事をしてから、自分の練習に戻った。