あの夏の続きを、今
そして最後に────1年生の楽器決め。
これから数日かけて、希望調査をしたり、実際に楽器を吹いてみて適正を確かめたりして、最終的には先生がパートを決め、来週の部活で発表するらしい。
トランペットは人気が集中する楽器みたいだから、もしかしたらトランペットになれないかもしれない。
でも、私はトランペットがやりたい────
初めて吹いた時から、そう強く思っていた。
他のどの楽器よりも目立って、他のどの楽器よりも華やかで明るい音色。
私にとって一番魅力を感じたのが、トランペットだから。
希望調査を取った後、いくつか楽器を吹いて、それを先輩や先生に見てもらい、適性を見てもらう。
「トランペット希望の人、こっちに来てくれるかな」
先生にそう言われたので向かうと、そこにはトランペットが置いてあり、ショートヘアの2年生の女子の先輩が側に立っていた。
私の他にトランペット希望の人は2人いた。
「トランペットは2人入れようと思ってるから、軽くオーディションをしてもらうね。前田さん、こっちからちょっと吹かせてみてくれる?」
先生がそう言うと、そこにいた女子の先輩が、はい、と返事をして、私の他にいた2人のうち1人にトランペットを持たせ、吹き方を教える。
え、オーディション………!?
募集枠は2人で、希望者が3人…………ってことは、私、落ちるかもしれない…………!?
一気に緊張が私を襲う。
心臓がドキドキと音を立て始める。