あの夏の続きを、今
私は引き続き部長挨拶の続きを読んでいく。
『────1年生は例年通り、第1部前半の3曲だけでの演奏となります…………』
────えっ!?
1年生の出番って、それだけ!?
松本先輩を見られるチャンスって、それだけ!?
隣のページに書いてあるプログラムを見ると、その3曲のうちの2曲は、どうやら今年のコンクールの課題曲と自由曲のようだ。
そんな……第1部前半しか先輩の演奏を聴けないなんて………
でも、こうやってまた先輩の演奏を聴くチャンスがあるだけでもましか。そう思い、私はパンフレットの続きを読んでいく。
部長挨拶の下に、何か書いてある。
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次回演奏会のお知らせ
東神高等学校吹奏楽部
第15回クリスマスコンサート
日時 12月××日 14時開演
場所 S市民文化会館 大ホール
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そういえば、少し前に、前回の東神高校のクリスマスコンサートのチラシを見た記憶がある。
クリスマスコンサートの方にも、絶対行かなくては。
それから最後に、裏表紙に書いてある演奏者名簿を見る。
…フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネット…
「ユーフォニアム」の所にすぐに視線を向けてしまうのがなんだか恥ずかしく思えて、私は左上から順番に目を通していくことしかできなかった。
サックスのところにシオリ先輩の名前があるのを見つけてから、名簿の次の列に視線を移す。
…トランペット、ホルン、トロンボーン…
そして、ドキドキしながら、また次の列に視線を移す────
そして、「ユーフォニアム」という文字の下に、確かに「松本 蒼汰」という文字があるのを見つけた。
────松本先輩だ……!!
何度そこを見ても、そこにあるのは「松本 蒼汰」の4文字だった。
そこに確かに書いてある大好きな人の名前を見ただけで、嬉しさと高揚で思わずにやけてしまいそうだった。