あの夏の続きを、今


ヴーーーーーッ………


開演のブザーが鳴った。


客席の照明は暗くなり、ステージの照明が点いた。


────いよいよだ……!


高鳴る胸を抑え、私はステージに目を移す。


黒いジャケットのユニフォームを着た、東神高校吹奏楽部の部員たちが、ステージに上がる。


あの中に松本先輩の姿は見えないから、きっと、2、3年生だろう。


そして、先生が入ってくる。


指揮台に上がった先生が、指揮棒を振り下ろすと、明るく華やかなファンファーレが会場に響いた。


────すごい………!


さすが、高校生だ………!


その演奏は、今まで吹奏楽祭やコンクールで聴いてきた他の中学校の演奏とは比べ物にならないほどの上手さだった。


吹奏楽コンクールの高校A部門には、中学校部門と違い、地区大会がなく、最初が県大会となる。


東神高校は、中国大会出場には及ばないものの、毎年県大会では金賞を取っている。


さすが、金賞受賞校に相応しい、素晴らしい演奏だ。


そして、しばらく曲が進むと────


ステージの左右から、ユニフォームではなく制服を着た人たちが入って来た。


あれは1年生だろう。


みんな、手に楽器を持っている。


そして────


私の求めてやまない人も、そこに現れた。


眼鏡をかけていて、背は高い。そして、ユーフォを持っている────


────松本先輩だ!!!
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