あの夏の続きを、今


心臓は激しくバクバクと鳴っている。


もう、息をすることも忘れてしまいそうだ。


松本先輩だ。確かに、松本先輩だ………!


もう一度、その姿を見ることができるなんて、夢みたい……


でも、夢じゃない。これは確かに現実なんだ────!!!!


ステージの前方に一列に並んだ1年生たちは、2、3年生の演奏に合わせ、歌を歌い始める。


私はずっと、松本先輩の方だけを見つめていた。


3ヶ月ぶりに見るその姿。


高校の制服を着ていることと、トランペットではなくユーフォを持っていること以外は、全部、あの頃の松本先輩と変わっていない。


トレードマークの眼鏡も変わっていない。


背が高いということも変わっていない。


ステージの端から端までずらりと並んだ1年生は、そのほとんどが女子で、その中で松本先輩の背の高さは一際目立っている。


私は歌が終わるまでずっと、松本先輩に見とれていた。


胸のドキドキが鳴り止まない。


やっぱり私は、松本先輩のことが好きだ────そう改めて実感した。
< 224 / 467 >

この作品をシェア

pagetop