あの夏の続きを、今


それから私たちは、第2部の演奏を聴いた。


ステージに松本先輩がいなくても、興奮は収まらなかった。


そして、アンコールも終わり、全てのプログラムが終了した。


客席が明るくなり、アナウンスが終わると同時に、たくさんの人が席を立って、出口に押し寄せていく。


私とリサも、出口に向かっていくと────少し前に、松本先輩たちの集団がいるのが見えた。


「あ、松本先輩だ!」

「また、話しかける?」

「うん……話したい!」


松本先輩たちがホールの外に出てから、少し遅れて、私とリサも人波に流されながらホールの外へと出た。


ロビーから正面玄関へと続く階段のところに、松本先輩とその仲間たちがいた。


私は勇気を振り絞り、再び松本先輩のところへ向かう。


「あの…松本先輩っ」


先輩はすぐに私に気付いて振り向いた。


だが、話題を何も用意していなかった。


────何を話そう……!


私は慌てて、とっさに浮かんできた言葉を発する。


「あっ、あの、私、…今度のクリスマスコンサートも…見に行きます!」

「そっか、本当にありがとう!また来てね!バイバイ!」


松本先輩はそう言って手を振ったので、私も軽くお辞儀をしてから、リサと一緒に正面玄関に向かった。



────やった!!!


────話せた!!!
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