あの夏の続きを、今
期待と不安と
【2015年 6月上旬】
夢みたい………
でも、夢じゃない………
私は、確かに松本先輩に会えた……
私は、確かに松本先輩と話せた…………
定演から帰ってきて、一晩寝て、月曜日の朝になっても、興奮は収まらなかった。
やっぱり夢だったのかもしれない…そう思いながら目覚ましを止めても、部屋の机の上にはちゃんと昨日の定演のパンフレットがあるし、その裏表紙には「松本 蒼汰」の4文字が確かに書かれている。
私は、会えたんだ。
松本先輩に、会えたんだ。
昨日見た松本先輩の姿を思い出して、一人で幸せな気分に浸りながら、朝の支度をする。
そろそろ梅雨入りの時期だからか、窓から眺めた空は今にも雨が降り出しそうなほどにどんよりと曇っているけど、私の心の中はそれとは対照的に、明るくキラキラと輝いている。
支度を終えたら、いつものように自転車で家を出て、朝練へと向かう。