あの夏の続きを、今



午後になってからは、雨は少し弱まってきた。


帰りの会が終わり、部活の時間になったら、教室を出て、小降りの雨の下をくぐって別棟の2階、音楽室へ行く。


音楽室のホワイトボードには、今日の練習予定が書かれている。


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今日の予定

〜17:00 個人

17:10〜 パート

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今日はパート練習があるのか……ということは、早速私が1年生3人の面倒を見なければいけないのか……


なんだか緊張する。


出欠が始まるまでの間、私は「せんばやま変奏曲」の楽譜を眺めながら、ここはこうした方がいいかな、とか、1年生にはこう言おうかな、とか、松本先輩ならどう言うかな、などと考えていた。



出欠が終わり、いつもの個人練習の場所である体育館横に行こうと外に出ると、いつの間にか雨は止んでいた。


譜面台を立てて、チューニング。


ロングトーンに、スケール練習。


私はチューナーの針をしっかりと見ながら、ピッチを合わせることをひたすら意識する。


寺沢先生に何回も何回も、ピッチを合わせろ、チューナーを見ろと言われ続けているから、個人練習の時はいつもチューナーと睨めっこだ。


東神高校みたいな金賞常連校の部員なら、決してこのチューナーの針は真ん中から決して動かないんだろうな。そう思いながら、吹き続ける。


いつか、東神高校に入学して、松本先輩と一緒に演奏する日のために。


松本先輩に誇れる演奏をするために。


自分に厳しく、努力を惜しまない。
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