あの夏の続きを、今
部活では相変わらず、パート練習は1stと2ndのグループに分かれている。
アカリ先輩とカリンの集中レッスンと、私と1年生だけでのパート練習。
吹奏楽祭が終わって以来、ずっとその体制でやってきているから、6人揃ってのパート練習はまだ1度もしたことがない────もう7月だというのに。
だから、私とアカリ輩は、いつまで経っても仲良くなれないまま────もう、先輩の引退まであと1ヶ月だというのに。
アカリ先輩は、「せんばやま変奏曲」の練習で、私に何かを教えてくれることは全くなかった。
カリンには毎日毎日丁寧な指導をしているのに。
アカリ先輩は私には決して心を開こうとはしなかった。だから私も、アカリ先輩に対しては心を開けずにいた。
────このことが、私の心の中に暗い影を落としていた。
そして、その影は────日に日に濃くなっていった。
────私は、アカリ先輩に嫌われているのかもしれない。
そんな疑念が浮かんでくる。
拭おうとしても、拭いきれない疑念が。