あの夏の続きを、今


一方、私と3人の1年生は、パート練習を重ねるごとに、どんどん仲良くなっていった。


練習以外の時間にも、よく話すようになったし、それぞれの個性も、よく分かってきた。


アズサちゃんは、みんなをまとめるしっかり者のリーダータイプ。


エリカちゃんは、面白いことを言うのが大好きな盛り上げ役。


ユイちゃんは、そんなエリカちゃんに対する冷静なツッコミ役。


性格だけでなく、音にもそれぞれの個性がある。


アズサちゃんは、透き通るような明るく澄んだ音。


ユイちゃんは、深く揺るぎない音。


エリカちゃんは、力強くよく通る音。


それぞれの得意な音、不得意な音が分かると、私も指導がしやすくなる。


私は3人との間に確固とした信頼関係が築き上げられていくのを、日に日に実感していった。


私は後輩たちのことを信頼しているし、後輩たちも私のことを信頼してくれているという実感があった。


最初は後輩と接することがたまらなく不安だった私の心は、すっかり変わってしまった。


もっと、後輩と仲良くなりたい。


松本先輩のように、信頼される先輩になりたい。


パートリーダーになりたい。


その思いはどんどん強くなっていったし、その目標に少しでも近づいていくような実感があった。
< 252 / 467 >

この作品をシェア

pagetop