あの夏の続きを、今
一方、私と3人の1年生は、パート練習を重ねるごとに、どんどん仲良くなっていった。
練習以外の時間にも、よく話すようになったし、それぞれの個性も、よく分かってきた。
アズサちゃんは、みんなをまとめるしっかり者のリーダータイプ。
エリカちゃんは、面白いことを言うのが大好きな盛り上げ役。
ユイちゃんは、そんなエリカちゃんに対する冷静なツッコミ役。
性格だけでなく、音にもそれぞれの個性がある。
アズサちゃんは、透き通るような明るく澄んだ音。
ユイちゃんは、深く揺るぎない音。
エリカちゃんは、力強くよく通る音。
それぞれの得意な音、不得意な音が分かると、私も指導がしやすくなる。
私は3人との間に確固とした信頼関係が築き上げられていくのを、日に日に実感していった。
私は後輩たちのことを信頼しているし、後輩たちも私のことを信頼してくれているという実感があった。
最初は後輩と接することがたまらなく不安だった私の心は、すっかり変わってしまった。
もっと、後輩と仲良くなりたい。
松本先輩のように、信頼される先輩になりたい。
パートリーダーになりたい。
その思いはどんどん強くなっていったし、その目標に少しでも近づいていくような実感があった。