あの夏の続きを、今


「とりあえず、今日は志帆が1stを練習しといて、また明日アカリ先輩が来たら、その時改めて決めるようにしよう?」とカリンが言った。

「そうだね。あと、1年生はどうしよう」

「あっ、そうだったね。こないだ配られた曲では、どう分けたんだっけ?」

「アズサちゃんが2ndで、ユイちゃんとエリカちゃんが3rd。だから、今回はユイちゃんかエリカちゃんに2ndを練習しててもらう?」

「そうだね!そうしよう」


そして、私とカリンは音楽室を出て、いつもの体育館横に向かった。


譜面台を立て、チューナーをつけて、いつものようにチューニングと基礎練習。


コンクールまで、あと1ヵ月とちょっと。これからもっと、本気出して練習していかないと。


決して音を外さないように。


決してピッチがずれないように。


自分が強豪校の部員だと思いながら基礎練習をすることで、意識して音を改善していく。


あの時掴み取ることのできなかった、最優秀賞を取るため。


松本先輩の果たせなかった夢を果たすため。


そして────その遥か向こうにある夢に、少しでも近づくため。


ほんの少しのずれやミスも許されない。それは寺沢先生からいつも言われていることであり、自分自身にいつも言い聞かせていることでもある。
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