あの夏の続きを、今
次の日。
今日は日曜日なので、午前練習だ。
トランペットパートのメンバーは、出欠の前に、昨日配られた新曲2曲の楽譜を、アカリ先輩に一旦返していた。
それから、出欠が終わった後、改めて、アカリ先輩がセクションを決め、楽譜を配っていく。
「えーっと、まず、1年生、こっちに来てー!2年生は先に練習行ってていいよ」
「「はいっ」」
アカリ先輩がそう言ったので、私は先輩と1年生たちの会話に聞き耳を立てながら、楽器や小物を準備する。
私はその間ずっと、1stになれますように、1stになれますように…と心の中で繰り返していた。
「前に配った曲は、アズサちゃんが2ndだったよね」
「はい」
「じゃあ、ユイちゃんとエリカちゃんが、それぞれ1回ずつ2ndをやってもらうから、2人で話し合うなりジャンケンするなりして、どっちの曲で2ndをやりたいか決めてー」
「「はい」」
そこまで聞いてから、私は音楽室を出て、またいつもの体育館横に向かった。
1年生に対しては、やっぱり「暗黙のルール」の通りにしているようで、安心したような不安なような、複雑な感情を覚えた。
それから、私とカリンがしばらくそこで基礎練習をしていると、音楽室からアカリ先輩と1年生たちが出てきた。
アカリ先輩は、まずカリンの所に楽譜を持ってきた。
「はい、これカリンちゃんの分ね」と言って、カリンに2枚の楽譜を渡してから、先輩は私の所へとやって来る。
3秒くらい経って、カリンがいきなり飛び上がり、「えーーーーーーー!?そんなーーーーーー!!」と驚いた声を出した。
アカリ先輩はそれには目もくれずに、私の前までやって来て、「これ、志帆ちゃんのね」とだけ言って、私に2枚の楽譜を手渡すと、そのまま去っていった。