あの夏の続きを、今


────きっと、1stだよね………?


私はそう思いながら、配られた2枚の楽譜を眺める。



────えっ………?



私は自分の目を疑った。


何度も瞬きしたり目を擦ったりしてから、もう一度その2枚の楽譜を見てみる。


左上に書かれている文字は、何度見ても変わらない────


うそ……でしょ………


全身から、一気に力が抜けていく。



「Tp.2」

「B♭ Trumpet 2」



指先に力が入らなくなって、私の手からするりと楽譜が抜け落ち、ひらひらと地面に落ちていった。


何が何だか分からないまま、私は楽譜を拾う気にもなれず、ただ呆然と立ち尽くしていた。


隣にいたユイちゃんが、落ちた楽譜を拾って、「志帆先輩」と言いながら私の所に持ってきてから、初めて我に返った。


反対側の隣では、カリンが、「また1stーー!?カリン、こんなの無理だよーー!」と一人で言っている。


どうして?


……どうして?


どうして、私には1stをやらせてくれないの?


どうして、カリンにばっかり1stをさせるの?


私の心の中にあった複雑な感情。それは、一気に不信感へと姿を変えた。
< 258 / 467 >

この作品をシェア

pagetop