あの夏の続きを、今
アカリ先輩は、1年生に対してはずっと、今まで通り「暗黙のルール」に従ってセクションを振り分けてきたし、話し合いもさせていた。
けれど────私とカリンのこの分け方は、どう考えてもおかしい。
絶対に、何が意図があるはずだ。
けれど、その「意図」が何なのか、私には全く分からなかった。
想像することだけはいくらでもできたが、どれも私にとっては心苦しいものばかりだった。
────アカリ先輩は私のことを嫌っているのだろうか。
────アカリ先輩はカリンばかりを贔屓しているのではないか。
そんな考えが、疑念から確信へと変わりつつあった。
アカリ先輩の、私とカリンに対する態度には、天と地ほどの差があった。
カリンに対してはいつも仲良くしているのに、私に対しては全く心を開いてくれないで、ずっと放ったらかしで……
やっぱり、アカリ先輩は私のことを嫌っている。そうとしか思えない。
でも────そうだとしたら、どうして、私は嫌われているんだろう?
溢れだしそうになる涙を堪えながら、ひたすら考えた。
考えて、考えて、考えて、それでも答えはわからなかった。
私があまりにも高音が出せなさすぎるから、1stを渡さないんだろうか?
でも、カリンだって、思うような音はまだなかなか出せないみたいだし、カリンに比べて私が特別劣っているとも思えない。
どうしてだろう。
考えても考えても、私には何も分からなかった。