あの夏の続きを、今


────結局、今日までとうとう、パートメンバー6人全員が揃ってのパート練習は、1度もなかった。


そして、私に1stが渡されることもなかった。


私とアカリ先輩の間だけでなく、私とカリンの間にも、不穏な空気が立ちこめていた。


3人の歯車は、もうすっかり狂っていた。

もう、新しい部長や副部長などの役職も決まり、今日は新しいパートリーダーが発表される予定だ。


だが、今日まで私とカリンのどちらがパートリーダーになるのか分からないというこの状況が、ますます私の心を狂わせていた。


カリンとの間に感じる、妙な距離感。


アカリ先輩に対する不信感。


────でも、それも全て、明日で終わりなんだから。


明日のコンクールが終われば、もう、先輩も引退して、何もかもが終わるんだから。


先輩が引退してからは、思う存分1stが吹けるようになるんだから。


あと少しの我慢なんだから。


そう自分自身に言い聞かせ、必死に怒りと不満を抑えていた。
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