あの夏の続きを、今
寺沢先生の合図で、部員たちが一斉に立つ。
(ステージマナーだって演奏と同じくらい大切なんだよ。背筋を伸ばして、2階席を見なさい)
私は笑顔で2階席を見上げた。
盛大な拍手が、私たちのもとへと降り注いでくる。
『J中学校の演奏でした』
ステージの照明が暗くなると同時に、大きな満足感を覚えた。
────やりきった………
私は私に出せるだけの力を全て出せたはずだ。
2ndとしての私の役割。それを全て果たすことができた、そう思える演奏だった。
1年前の私には、絶対こんな演奏はできなかっただろう。
私は他の部員たちの後に続いてステージを降りた。
暗い舞台袖から明るいロビーへと戻ってきた瞬間、安心感がどっと押し寄せてきた。
私の少し後ろには、3人の後輩がいるはずだ。
私は後ろを振り向き、3人に話しかける。
「アズサちゃん、ユイちゃん、エリカちゃん、お疲れ様!3人とも、よく頑張ったね!」
「ありがとうございます!」
「先輩もお疲れ様です!」
「とっても楽しかったです!」
3人とも、演奏に満足しているようで、みんな揃って笑顔になっている。