あの夏の続きを、今
念のためナップサックを濡れても大丈夫なように、大きな袋に入れる。
ふいに、ついさっきのカリンの「志帆だけが頼りだから!」という言葉を思い出した。
嬉しいはずなのに、なんとなく胸が痛むのは、カリンに「隠し事」をしているせいだろうか────
自転車に乗って、校門を出ようとしたその瞬間、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
雨は瞬く間に土砂降りに変わり、辺り一帯を濡らす。
……夕立だ。
私は道の端っこに自転車を止めて、急いでレインコートを着てから、激しい雨と雷の音の中、自転車を漕いでいく。
住宅街へ続く上り坂を上って、家までたどり着くまでの間に、頭も足もすっかりびしょ濡れになってしまった。
玄関でレインコートを脱いだ後、濡れた髪をタオルで拭きながら、家の中に入る。
夕立で荒れ狂う外とは対照的に、家の中はやけに静かだった。どうやら家族はまだ帰ってきていなくて、私の他には誰もいないらしい。
私はそのまま荷物を持って2階の自分の部屋へと向かう。
とりあえずアカリ先輩からもらったプレゼントを整理しよう。そう思い、ナップサックからプレゼントの包みを取り出す。
まず、その中のキーホルダーを、とりあえず机の片隅に飾る。
それから、このノートをどこへしまおうか…そう思って包みからノートを取り出した時、ノートの下に何かあるのに気がついた。
それは、「志帆ちゃんへ 朱里より」と書かれた1枚の封筒だった。
これは………
────アカリ先輩からの手紙だ。
昨日、あんなことを言ってしまったし、もしかすると酷いことが書かれているのかも─────
そう思いながら封筒を開け、中の便箋を取り出すと、予想とは違い、そこには2枚半にも渡って、丁寧な字で、長い長い文章が書かれていた。
何が書いてあるんだろう。そう思い、私はじっくりとその手紙を読み始めた。