あの夏の続きを、今


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志帆ちゃんへ



1年半、本当にありがとう。


……なんて言っても、今の志帆ちゃんは絶対信じてくれないよね。


うちが今この手紙を書いているのが、コンクールの前の日の夜だから、それは凄くよく分かってます。


けれど、それでもこうして手紙を書くのは、志帆ちゃんに本当のことを、ありのままを、伝えたいから。


これを読んだら、志帆ちゃんは怒るかもしれないし、泣くかもしれない。


けれど、一度だけでいいから、一度読んだらもう破り捨てても構わないから……どうか、うちの本当の思いを、知って欲しいのです。



初めて志帆ちゃん達に指導する時、うちとカリンちゃん、松本先輩と志帆ちゃん、でいつもペアになって教えてたよね。


あれがきっかけで、うちとカリンちゃんはすぐに仲良くなりました。


初めての後輩の一人であるカリンちゃんとすぐに仲良くなれたのが、うちにとっては凄く嬉しかった。


だから、うちは調子に乗ってしまったのかもしれません。


カリンちゃんと話すことが、楽しかった。だから、うちはいつも、カリンちゃんとばかり話していた…


そうしていくうちに、いつの間にか、志帆ちゃんとは打ち解けるタイミングを逃してしまったまま、パートリーダーになってしまいました。


先輩として、カリンちゃんも志帆ちゃんも、両方と仲良くしなきゃいけない。それはよく分かっていました。


けれど、その時には既に遅かった。


今まであまり接してこなかった志帆ちゃんと今更仲良くなる方法なんて、うちには分からなかった……


だから、気づいたらうちは、楽な方へと逃げるようになってしまったんです。


うちは小心者でした。だから、うちが居なくても一人で何でも出来てしまう志帆ちゃんと近づく勇気は、なかったんです。
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