あの夏の続きを、今
ようやく涙が収まってきてから、私はゆっくりと立ち上がり、なんとなく窓の外を見てみた。
いつの間にか夕立は止み、雲の隙間から差す夕日が、そこら中に残る雨の雫や水たまりをキラキラと輝かせている。
────不意に私は、1年前の今日、松本先輩と窓辺で話していたアカリ先輩の姿を思い出した。
私が一度だけ見た、前田 アカリ先輩の不安げな姿。
あの姿、あの言葉の裏側に隠された、先輩が抱えていた数え切れないほどの思いが、今、私にも身に染みてわかるような気がした。
────それを思うと、再び、胸の奥に何かが込み上げてくるような気がした。
アカリ先輩はもう引退してしまったのだから、これから先、会える機会はもう全くと言っていいほどないだろう。
先輩に謝る機会も、きっとないだろう。
私の過ちで、アカリ先輩と私の間には深い深い溝が残ってしまった。
もう、今となっては、それを完全に埋めることはきっとできないだろう。
けれど、せめて、アカリ先輩の本当の思いを理解したからには、それをしっかりと受け止め、そして、後輩としてアカリ先輩の意志を受け継ぐことで、この過ちを償うことができたら────