あの夏の続きを、今



その日の放課後。


いつものように音楽室で部活の出欠を取った後、部長の子が言う。


「2年生は、これから次のコンクールの課題曲と自由曲を決めるので、隣の多目的教室に集まってください」

『はいっ』


────コンクールが終わってから、もう半年が経つ。


あれから、代わり映えしない日常ばかり続いてたから、時間の流れの感覚が軽く麻痺していたみたいだけど、もうこんなに時間が過ぎている。


時が過ぎるのって、早い。


─────『次のコンクールはA部門に出場する』。


皆が納得して決めたこととはいえ、J中学校吹奏楽部として初の試みで、部員たちにとってはどうなるかまだ不安なことも多かった。


B部門と違い、地区大会、県大会、中国大会、全国大会と勝ち上がっていく、本格的な部門であること。


演奏する曲が2曲になること。


─────それでも、私たちには、寺沢先生と一緒に最優秀賞を取ることが出来たからには、もっと上に挑むことで、自分たちの限界を試してみたいという思いがあった。


だからこそ、A部門に出ることを選んだのだ。
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