あの夏の続きを、今


私たち2年生が多目的教室に行くと、そこには寺沢先生がいて、机の上にはCDプレイヤーと大量の楽譜の束が置いてあった。


黒板には、来年度の課題曲の曲名が書いてある。


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2016年度課題曲

I マーチ・スカイブルー・ドリーム
II スペインの市場で
III ある英雄の記憶 ~「虹の国と氷の国」より
IV マーチ「クローバー グラウンド」
(V 焔 )※課題曲Vは中学校部門では選択不可

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「来た人から、ここにある課題曲の、自分のパートの楽譜取ってけよー」と寺沢先生に言われ、私とカリンは机の上の楽譜の束から、「B♭ Trumpet」と書かれた楽譜だけを抜き出して持って行く。


前の方の隅っこの席に、カリンと並んで座り、全員が席に着くのを待つ間、二人で課題曲の楽譜を眺める。


カリンが1st、私が2ndと3rdの楽譜をじっくり見る。


最初に、束の一番上にあった、「マーチ・スカイブルー・ドリーム」を見てみる。


イントロからいきなり並んでいる16分音符。リズム感が求められそうな曲だ────マーチはどの曲でもリズム感は大事なんだけど、この曲は特に。


「あっ、ソロがある!」と、カリンが突然声を上げた。

「どれどれ」

「ほら、ここ見て!トランペットのソロ!」


カリンに「マーチ・スカイブルー・ドリーム」の1stの楽譜を見せてもらうと、そこには確かにソロがあった。


曲の最後の方、2小節間の短いソロだ。
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