あの夏の続きを、今


課題曲を全て聴き終えてから、先生が言う。


「この中で、自分たちが演奏するのにどれがふさわしいと思うか、ちょっと話し合って決めてくれ」


私たち2年生は、教室の中央を向いて、話し始めた。


「スカイブルードリームが一番簡単そうじゃない?」

「他の全部難しそうだもんね」

「自由曲と2曲連続でやることを考えたら、やっぱスカイブルードリームかなー」

「スペインも体力はあんまりいらなさそうだけどね」

「でも、楽譜見た感じ難しそうだよー」

「やっぱマーチがやりやすくていいかな。譜読みに時間がかからない分、自由曲に時間かけられそうだし」

「いきなり難しい課題曲にチャレンジしても、どうなるか分からないもんね。A部門出るの初めてなんだし」

「じゃあ、マーチ2曲のどっちかにする?」

「そうだね、マーチだったらどっちがいい?」

「うちはスカイブルーがいいなー。シンプルでやりやすそうだし」

「クローバーは少し難しそう。音を揃えるのとか」

「スカイブルーは難易度も低いし、タイトルと曲想がマッチしてるし、何を表現すればいいのかわかりやすいよね」

「なんか、夏っぽいイメージだし、コンクールにぴったりな感じする」

「この中だったら一番一体感が感じられそうだしね」

「もうスカイブルードリームでいいんじゃない?」

「じゃあ、スカイブルードリームがいいって人、手挙げてー」


一人がそう言うと、全員が手を挙げた。


「じゃあ、私たちの意見は、全員一致で、『マーチ・スカイブルー・ドリーム』で決まりね。…ということで、どうですか、先生?」


寺沢先生は答える。


「うん、俺も、スカイブルードリームが無難でいいと思うな。ってことで、今年度の課題曲は、『マーチ・スカイブルー・ドリーム』に決定ということで、いいか?」

『はいっ』

「よし、じゃあまずは、課題曲決まりだな。次は、自由曲だ」
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