あの夏の続きを、今
最後まで聞き終えてから、また私たちは話し合いを始める。
「どれがいいと思うー?」
「個人的には、最後に聴いたやつが一番好きだなー」
「『じんじん』のことだね」
「それは私も思った」
「なんか、あれが一番感動的だよね」
「構成がすごくいい感じで、自由曲にはぴったりだと思う!」
「うちも、『じんじん』がいいと思う!」
「どういう言葉で表せばいいのか分かんないけど、とにかくすごくいい曲」
「うちもそう思った!」
「『じんじん』って、すごく夏って感じするよね。コンクールの季節にぴったりじゃない?」
「課題曲の時も誰かそんなこと言ってたよね」
「課題曲も自由曲も、両方夏っぽい感じだったら、なんかテンション上がりそう!」
「課題曲が空のイメージで、この曲は海って感じのイメージだから、いい感じのイメージになりそう!」
「なんか話が『じんじん』の方ばっかりに進んでるけど、他の曲を推す人はいない?大丈夫?」
「……」
「いないみたいだし、『じんじん』にしちゃう?」
「うちは賛成〜」
「カリンも、『じんじん』がやりたいな〜」
「私も!」
「じゃあ、『じんじん』がやりたいって人、手挙げてー!」
今度もやはり、全員が手を挙げた。
「じゃあ、寺沢先生、私たちの自由曲は、『じんじん』に決定ということで、いいですか?」
「うん、じゃあ、それで決まりだな。課題曲が『マーチ・スカイブルー・ドリーム』。自由曲が『じんじん』。これで最終決定でいいな?」
『はいっ』
「じゃあ、これで決定だな。今日はもう下校時間近いから、少し早いけど、もう帰りな」
先生がそう言うと、部長が起立したので、他の2年生たちも起立する。
いつものように、終わりの挨拶だ。
「ありがとうございました!」
『ありがとうございました!』