あの夏の続きを、今
音楽室で出欠をとった後、トランペットパートの4人は楽器と譜面台、楽譜を持って体育館の横へと向かう。
ここが、トランペットパートの個人練習の定位置。
譜面台を立てて、チューナーの電源を入れる。
いつものボロボロの学校の楽器を構えて、ウォーミングアップ。
すぐそこの体育館からは、ボールをドリブルする音や、シューズが床を擦る音、タイマーの笛の音が聞こえてくる。
バスケ部が、練習しているんだ。
レナやハルトも、あの中で頑張ってるはず。
私も、頑張らないと。
ウォーミングアップを終えたところで松本先輩がやってきて、私とカリンに1枚ずつ楽譜を手渡した。
1年生が手にする、初めての楽譜だ。
「6月の初めに、吹奏楽祭っていうのがあって、そこでこれを演奏するんだけど、1年生には、これの一部分を吹いてもらうよ」
そう言って松本先輩は、1年生が吹く場所を蛍光ペンで塗った。
まだ一部しか吹くことはできないけれど、やっとこれで、1年生も曲が吹けるようになる。
これからの練習が、ますます楽しみになってきた。