あの夏の続きを、今


音楽室で出欠をとった後、トランペットパートの4人は楽器と譜面台、楽譜を持って体育館の横へと向かう。


ここが、トランペットパートの個人練習の定位置。


譜面台を立てて、チューナーの電源を入れる。


いつものボロボロの学校の楽器を構えて、ウォーミングアップ。


すぐそこの体育館からは、ボールをドリブルする音や、シューズが床を擦る音、タイマーの笛の音が聞こえてくる。


バスケ部が、練習しているんだ。


レナやハルトも、あの中で頑張ってるはず。


私も、頑張らないと。



ウォーミングアップを終えたところで松本先輩がやってきて、私とカリンに1枚ずつ楽譜を手渡した。


1年生が手にする、初めての楽譜だ。


「6月の初めに、吹奏楽祭っていうのがあって、そこでこれを演奏するんだけど、1年生には、これの一部分を吹いてもらうよ」


そう言って松本先輩は、1年生が吹く場所を蛍光ペンで塗った。


まだ一部しか吹くことはできないけれど、やっとこれで、1年生も曲が吹けるようになる。


これからの練習が、ますます楽しみになってきた。
< 30 / 467 >

この作品をシェア

pagetop