あの夏の続きを、今



バンドフェスティバルは無事に終わり、それから数週間が過ぎていった。


やがて、学年末テストやら卒業式やら終業式やらが終わって春休みに入り、吹奏楽部員たちものんびりできる時期になった。


今日は午前中だけ部活がある。コンクールの課題曲や入学式で演奏する曲の練習をする予定だ。


いつものように音楽室で出欠をとり終えた後、各々が個人練習の場所へと散らばっていく中、ふいに寺沢先生の声が聞こえた。


「広野ー、ちょっと話があるんだが、今時間大丈夫か?」

「え、私?あ、はい、今行きます」


話……いきなりなんだろう?


音楽室にいた他の部員たちも、なんとなく怪訝そうな顔をしている。


「え、志帆、呼び出し?なんだろうねー、この時期に。カリン全っ然予想つかないー、気になるよー」


カリンは基礎練習用の教本やら何やらを整理しながら、顔だけこちらに向けてそう言ってきた。


「とりあえず、行ってくるよ。なんだったら先にパートで基礎練やってていいよ」

「はーい」


私は楽器を席に置いて、寺沢先生の元へと向かった。
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