あの夏の続きを、今


そして、週末。


電車で40分ほどかけて行く、都心部の駅から歩いて10分。


私とカリンは、浜百合高校の定期演奏会の会場である、県最大級のコンサートホールにやって来た。


「うわーっ、見てよ!すごい人!」

「めっちゃ並んでるねー!コンクールより多いかも!」


入口から長く伸びた行列、辺りを埋め尽くす人々は、まるで有名なミュージシャンのライブでもあるのかと思うほど。


東神高校の定演など比にならないほどの人の多さだ。


チケットを切ってもらって、人でごった返すロビーに入ると、OBや保護者と思しきスタッフ達が、オリジナルグッズの販売をしている。


「わ、見てあれ!オリジナルデザインのタオルに缶バッジだって!あれ楽器ケースに付けたら浜百合の部員みたいに見えるかなー」


想像を遥かに越える「有名どころ」らしさを目の当たりにして、カリンはすっかりはしゃいでいる。


その反対側には、今までの演奏の様子を収めたDVDやCDの販売ブースが設けられていた。


「あっ、あの『浜百合サウンド ザ・ベスト』のCD、カリンの家にあるよ!お兄ちゃんが買ってきたの」

「CD出してるのは知ってたけど、あんなに種類あったんだ!せっかくだし買っちゃおうかな」


さらにその隣では、テレビのモニターに私の見たことのあるテレビ番組の録画が映し出されている。


例の去年放送された番組で浜百合高校が特集されていた時の映像だ。


「あっ、あの番組カリンも見たよ!あれで全国大会に出た時の演奏見て、浜百合超すごいなーって思ったの!なんか、あれからすごい有名になってるよね」

「私もそれ見た!あれ見てから浜百合のこと、すごい有名人みたいに感じてるけど、まさか私がそこから呼ばれるなんて。何かの間違いじゃないの?って今でも思ってるよ」

「えー!?志帆は上手いし、そんなことないって!」
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