あの夏の続きを、今
────裏切り者は…
「お願い、もうやめて……」
私は反対方向へと走り出す。
だが、それでも、声はどんどん近づいてくる。
────近づかなくて、いい……
「やめて……お願い……やめて………!」
どちらへ逃げても迫ってくるその声に恐怖を感じて、私は耳を塞いでその場にうずくまる。
────もう二度と……
────親友なんかじゃ……
耳を塞いでもなお聞こえてくるその声をかき消すように、私は必死で叫ぶ。
「やめてーーーー!お願いだから!!もう分かってるから!!苦しめないで!!もう何もしないから!!!」
迫り来る恐怖の渦に飲み込まれながら、私は誰に届くこともないその声を必死に振り絞って叫ぶ────
その瞬間、はっと目が覚めた。
ここは────自分の部屋のベッドの上。
電波時計に表示された日時は、1学期の始業式の日の、朝起きる時間の数分前。
────なんだ。夢だったのか。
……あまりにも恐ろしい夢だった。
心臓はまだバクバクと鳴っていて、息は上がりきっている。
時々、こうして夢の中に、私がレナに放ったあの言葉が蘇ってきては、私を苦しめる。
そして、その度に、私は価値のない人間だ、駄目な人間だ、という思いに押し潰される。
もう、これで最後にして欲しい……