あの夏の続きを、今



その日の午後、部活の時間。


私たち吹奏楽部員は、音楽室で「マーチ・スカイブルー・ドリーム」の合奏をしている。


去年までは、入学式の入場曲で演奏するのは毎年「アルセナール」と決まっていたが、今年は課題曲のマーチをそのまま入場曲として使うことになった。


さらに、今年の吹奏楽祭でもこの曲を演奏する予定だ。


私たちはさっきから、最初のファンファーレの部分を何回も何回もやり直しさせられている。


「いいか、マーチで大事なのはイントロだからな。課題曲のマーチの出だしで何かやらかそうものなら、その後はどんなに上手い演奏しても全てが無駄になるからな」


寺沢先生はそう言って、指揮棒を構える。


「もう一度最初から」


私は左隣にいるアズサちゃんとカリンを横目で見ながら、(頼んだよ、2人が頑張ってくれないと私も頑張れないから)と心の中で呟く。


「マーチ・スカイブルー・ドリーム」では、カリンはもちろん1stを吹くことになっている。


1stが一人では心もとないからということで、2年生3人の中では一番高い音が上手いアズサちゃんも1stを吹くことになった。


私は2ndだが、あまりにも1stの音が高い部分だけはアズサちゃんの代わりに少し1stを吹くこともある。


そして、エリカちゃんも2nd、ユイちゃんが3rdだ。


一方、自由曲の「じんじん」は、1stと2ndの二つのセクションしかないので、カリンとアズサちゃんと私が1st、残りの二人が2ndを担当する。
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