あの夏の続きを、今
「いやー、まさかお前が知らない男と並んで帰るなんて、世界がひっくり返ってもありえないと思ってた現象をまさかこの目で見ることになるなんてさー、そりゃ、撮りたくなるよ。大スキャンダルだ」
「は?何やってんの、これはただの先輩!前に同じ部活にいた先輩!変なことしないでくれる?この先輩だってかわいそう!」
「とかいいつつ、本当は影で隠れて付き合ってましたとかありそうだなー。怪しいなー」
「付き合ってないからっ!本当にやめて!今すぐその写真消して!」
「はいはい、分かった、消しますよ消しますよ」
セイジは適当に返事をしながらスマホの画面を少しいじると、そのままそれをポケットにしまった。
「本当に消したの?」
「消したってば」
「えー、信用できないー」
「お前もひどい奴だなー…ま、誘拐とかされないように気をつけな」
「余計なお世話だし」
「じゃあ、お先にな」
セイジはそう言うと、また自転車に乗って坂道を猛スピードで上がっていって、遠くへ消えてしまった。
悔しい。絶対いつか、ギャフンと言わせてやる!そう思いながら、私はまた自転車を押して歩き始める。
本当は、その写真が欲しかったのだが────そんなことはセイジには絶対に言えないな、やっぱり消してもらう他はなかったな、と思いながら、私は家へと向かった。