あの夏の続きを、今
「ねえ、ハヅキ…」
「どうしたの志帆?なんか、悩んでるような顔してるけど」
「私が何と言おうと、受け入れてくれる?否定したりしない?」
「もちろんだよっ!志帆の恋は応援するし、うちには彼氏も好きな人もいないから、志帆が誰を好きになろうと大丈夫だし!」
ハヅキはそう言って笑顔で親指を立てる。
私が次の言葉を言おうとするより先に、ミホが口を開いた。
「よーっし、じゃあ、ハヅキも一緒に当てようよ、志帆の好きな人!
今のところ分かってることは、違う学年ってことと、一昨年D組だったってことと、イニシャルはS.Mってこと!」
「違う学年!?」ハヅキは驚いている。「福原くんじゃないんだ!」
「だからー、セイジは絶対ないってば!絶対ありえない!」
「えー、でも、志帆と福原くんって、幼なじみなんでしょー?幼なじみって、中高生になってから恋に発展する、お決まりのパターンじゃん!
だから、志帆が福原くんのことを好きにならなくても、福原くんが志帆のことを好きになる日は絶対いつか来ると思うなー。1万円賭けてもいいぐらい確信してる!それか、もう好きになってたりして!」
ハヅキの言葉に、私はぶんぶんと大きく首を横に振りながら答える。
「それも絶対ありえないね。それこそ1万円賭けてもいいぐらい確信してる。
あんなに口悪いのに私のこと好きだなんて1000%ありえないし、そもそもセイジは漫画と睡眠にしか興味ない」
「いやー、確かに福原くんは授業中本読むか寝るかしてないけどさ…でもわかんないよ?人生何が起こるか」
「だからありえないってば。ぜっったいそんなことないってば。セイジを異性として意識なんて絶対できないし」
「とか言いつつ仲良くしてるじゃんー?」
ハヅキはニヤニヤしながら聞いてくる。
「仲良く、って言うよりは、お互いがお互いをストレス発散の捌け口にしてるって言った方が良いかも」