あの夏の続きを、今
「で?で?それで、志帆の好きな人は?誰なの??」
ミホが、私とハヅキの腕をつんつんと突く。
「あぁ、そうだった、ごめんごめん。で、志帆が本当に好きな人って、誰?」
私の顔を覗き込みながらそう言ってくるハヅキに、私は、「ハヅキならすぐ分かるよ、今のヒントで。ミホは多分分からないと思う」と答えた。
「えーと、違う学年、一昨年D組、イニシャルがS.M…一昨年のクラスが分かるってことは、1つ上か2つ上だよね…」
次の瞬間、ハヅキがはっと顔を上げた。
「もしかして……松本先輩?」
私は何も言わず、機械のようにうなずいた。
とうとう、吹奏楽部員にバレてしまう時が来てしまった────
「そっかーーー!松本先輩かーーーー!」
「松本先輩って誰?」とミホが聞いてくる。
「吹奏楽部の先輩だよ。私の2つ上で、同じパートだった」
私はハラハラしながらそう答えた。
ハヅキは、何て言うだろうか。
「志帆、いつから松本先輩のこと好きなの?」
ハヅキの第一声はそれだった。
「1年生の秋だよ。もうその時には既に先輩は引退してた」
「じゃあ、そっからずーーっと先輩のこと好きなの?」
「うん」
「そっかーー!志帆、すごいね!超一途じゃんー!!乙女じゃんーー!!」
「そ、そう??ありえないとか、思ったりしない??」
「もちろん!!否定なんてする訳ないでしょ!!これは何としてでも志帆の恋を応援しなきゃね!!1年の頃からなんて、こんなに長い間好きでいるんだったら、応援する他はないでしょー!」
「あ、ありがとうハヅキ……」
「後で詳しく話聞かせてよ!」
「う、うん!」